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picture たまに読書

HN harborが撮った写真や絵をアップしていきたいと思います。たまに読書とか、たわいもない話から、真面目な話など。お笑いなんかも・・・

哀しい生き物Ⅲ

哀しい生き物Ⅲ

 マリリンという渾名がついたのは、本名が神宮寺真理子だったからだ。田舎から、一人、東京に出て、思い切り羽を伸ばし、そしてまた背伸びをして、いきがっていたころだ。とにかく、女子大生だ。女子大生はバブルの頃、それは、それは珍重された。そして若く、美しいことは大きな武器だった。
 自分に自信を持つには裏づけが必用だ。4月、キャンッパスに通いだすと、様々なサークルや、文化連合会の部の勧誘に驚いた。とにかく、女子大生なのだし、立教なら、テニス・スキーのサークルでしょうと思っていた。勧誘の季節、大学のサークル勧誘は、女性の場合、容貌がなによりもものを言うことが分った。ただ、サークルのチラシを貰うだけの子と、2,3人の男子に囲まれ、入部を懇願される子と・・・もちろんマリリンは後者だった
 私が歩けば、男性にすぐ囲まれ、それを潜り抜けると、また囲まれる。女王様気分を味わえた。そして、某、テニスサークルに入った。春夏秋はテニスで、冬は、スキーサークルになるという軽薄なサークルだったが、去年まで高校生だった真理子は、いつか本物の時代が来ることまでは予測できなかった。いつまでも、お祭り騒ぎの経済は終ることなく、4年間は学生として、猶予が与えられている身分だと思っていた。
 
 立教のマリリンの伝説はこのサークルから始まるといっても過言ではなかった。

 夫になった早乙女剛君とは、三年次に知り合った。1,2年のサークル活動で、なにか物足りなさを感じていた頃だ。車の話しや、ゴルフの話しや、女の子の話しばかり・・・もっと根源的で、心の深淵に響くような話し、文学や、哲学などのお話が出来ないサークルの男の子に飽きた頃だった。
 そろそろ本格的に勉強しようと思い出していたのもこの頃だ。

 マリリンが二年生の頃、卒業アルバム委員会という団体が、4年生の卒業写真をとるという告知のポスターが学校中に貼られていた。そこに物凄く美しい女性の横顔の写真があった。こんなにも女性を美しく写真を撮れる人がいるなんて・・・
 真理子は写真部の部室を訪れ、この写真を撮ったのは、誰なのかを聞いた。すると早乙女剛君だと分った。かれの才能にほれ込んだ。
 部の兼部は禁止されていたが、早乙女君は、文芸部に籍を置き、写真部にも関わりを持っていた。いったいどんな男性が・・・

 私の美。それにくさびを打ち込むには、ベストの写真を撮ってもらえるか、それか、自殺するしかないだろうとマリリンは思っていた。
 しかし彼女は知らなかった。ベストの遺影写真を取ってもらえば、生きていく理由がなくなるということを・・・
 早乙女君は、プリンスだった。私が緊張するくらい・・・早乙女君は、私を前にして長い髪の毛をしきりにかきあげていた。
 一通りの話しを私は早乙女君にお願いした。快諾だった。そして、写真に撮ってもらった。私、綺麗。そう思った。早乙女君と学園祭の時、展示した写真は好評だった。
それで三年次に、ミスコンの話しがあった・・・

 写真の技術だけではなく、早乙女君は、ものごとを噛み砕いて、教えるのが上手かった。私は、二年次に、塾講師のアルバイトをして、英・国・日本史の授業を担当していた。そこで生徒から「先生!想像と、空想と、妄想の」違いが分らないのですけど・・・という質問があった。辞書で調べたらと言ったら、生徒はそれでも、解るようですけど解らないと言うので、私も考えた。リアルからだんだん、離れていっちゃうってことかな、と言うのがやっとだった。
 カフェテラスで、早乙女君にどう思う?と言うと、しばし黙考したが、こう答えてくれた。

 「想像」は
 ビートルズのジョンレノンが、日本公演に来たっとき、こんな風にギターを
演奏したのかも・・・と思うのが想像。
 「空想」は
ジョンレノンが、イマジンという歌の中で、理想の国家感、宗教観を歌ったのが空想
 「妄想」は
俺は絶対、ジョンレノンの生まれ変わりだーと一方的に主張したのが妄想。

 私は感心してしまった。

 早乙女君が、早乙女ビルの御曹司だとは、その時、知る由もなかった。
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  1. 2013/10/06(日) 05:33:13|
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